日本の鉄道貨物輸送と物流:目次へ
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日鐵セメント株式会社
2017.9.18作成開始

【目次】
1.日鐵セメント(株)の概要
2.日鐵セメント(株)の沿革
3.日鐵セメント(株)のSS配置と鉄道貨物輸 送


1.日鐵セメント(株)の概要  


2.日鐵セメント(株)の沿革  

▽沿革
年  月
内  容
1954(昭29)年6月
富士製鐵(株)と磐城セメント(株)の共同出資により富士セメント (株)設立。資本金2億円([1]p194)
1955(昭30)年4月
第1期建設工事竣工(月産能力12,000トン)([1] p194)
1956(昭31)年4月
第2期建設工事竣工(月産能力24,000トン)([1] p194)
1960(昭35)年5月
第3期建設工事竣工(月産能力50,600トン)([1] p194)
1962(昭37)年5月
札幌SS竣工([1]p194)
1965(昭40)年5月
第4期建設工事竣工(年産100万トン体制)([1] p195)
1966(昭41)年5月
バラセメント専用貨車運行開始([1]p195)
室蘭工場〜札幌SSを結ぶ道内初のバラセメント専用貨物列車富士号¥A行([1]p87)
1970(昭45)年5月
釧路・十勝・稚内臨海中継基地完成、セメントタンカー芙蓉丸就航([1] p195)
1970(昭45)年8月
函館臨海中継基地、紋別中継基地完成([1]p195)
1970(昭45)年9月
社名を日鐵セメント(株)に変更([1]p195)
1971(昭46)年4月
旭川中継基地完成([1]p195)
1974(昭49)年3月
設備更新工事完成(月産能力178,000トン)([1] p195)
稚内SS完成([1]p195)
1974(昭49)年5月
留萌SS完成([1]p195)
1977(昭52)年5月
塩釜SS竣工、東北地方へ本格的営業活動開始([2] p244)
1981(昭56)年7月
野辺地SS竣工([2]p244)
1982(昭57)年5月
流通合理化のため紋別港に紋別SS設置([2] p245)


3.日鐵セメント(株)のSS配置と鉄道貨物輸送  

 日鐵セメント(株)は、東室蘭駅の本社工場専用線から道内各地にセメントを私有タンク車や国鉄のワム車を用いて貨車輸送を行っていた。

 包装所・中継基地(SS)の専用線は、東札幌駅と北旭川駅に存在したことが「専用線一覧表」によって確かめられる。一方、稚内や紋別は下記資料の通り、 貨車輸送が行われていたとのことだが、専用線は無かった模様で構内側線扱いだったのであろうか。

 稚内はタンカーと貨車輸送を併用していたようだが、1984年2月に稚内駅は貨物取り扱いを廃止している。紋別は国鉄名寄本線の貨物取り扱い廃止に備え てか、1982年には紋別港に臨海SSを設置しており、鉄道輸送はこの時点で廃止されたのであろう。

 国鉄・東札幌駅は1986年11月に廃止されており、札幌SSは2004年に現在地に移転した。旭川SSの鉄道輸送廃止と旭川SS自体の廃止時期は不 明。

 尚、留萌や釧路のSSも鉄道のすぐ近くにあったのだが、臨海SSであり鉄道貨物輸送とは無縁であったようである。



([1]p142)

基  地 名
所  在 地
現  在(地図にリンク)
札幌包装所
札幌市白石区東札幌一条2-9
現存せず
白石区流通センター5-3-60に移転
函館港臨海中継基地
函館市浅野町4-21
浅野町5-3に移転(住所変更?)
十勝港臨海中継基地
広尾町字会所前212
現存
釧路港臨海中継基地
釧路市知人町153
現存
稚内港臨海中継基地
稚内市開運町2377-1
開運2-5-3(住所変更?)
紋別中継基地
紋別市幸町6-29
新港町2-20-6に移転
旭川中継基地
旭川市永山町7-26-3
現存せず
留萌港臨海中継基地
留萌市元町2-2
現存
([1]p142、日鉄住金セメント(株)webサ イトより作成)

バラ貨車([1]p153)

 日鐵セメント(株)が貨車輸送を全廃した時期は、おそらく東札幌駅が廃止された1986年11月と同時期と思われる。国鉄時代に貨車輸送を止めたのは、 同業他社と比べても早いと言える。北海道の鉄道貨物輸送のネットワークが幹線輸送に縮小され、室蘭からの遠隔地はタンカー輸送への転換が早かったことや道 内の主要消費地である札幌や旭川が石狩CTや留萌SSに代替されたことで、鉄道貨物輸送を維持する理由が消滅したと思われる。

 道内におけるセメント貨車輸送が消滅してからおよそ四半世紀後には道内から今度は石油タンク車輸送が消滅した。内陸のターミナルを閉鎖し、臨海部の出荷 基地に集約する傾向は全く同じである。



[1]『二十年の歩み』日鐵セメント株式会社、1974年
[2]『セメント年鑑 2010』セメント新聞社、2010年